日本小児アレルギー学会誌
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生および加熱凝固卵白のペプシンおよびパンクレアチンによる卵白タンパク質成分の消化性
坂井 堅太郎牛山 優真鍋 祐之
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1999 年 13 巻 1 号 p. 36-42

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抄録

鶏卵の卵白を生, または加熱凝固させた場合のペプシンとパンクレアチンによる卵白タンパク質成分の消化性をSDS-PAGEとイムノブロットにより検討した. 生卵白のオボアルブミン (OA) は, ペプシンおよびパンクレアチン消化に対して強い抵抗性を示したが, 加熱凝固卵白では, これらの消化酵素によく消化された. オボムコイド (OM) のペプシン消化は, 生および加熱凝固卵白に拘わらず, よく消化された. OMのパンクレアチン消化は, 生卵白の場合で強い抵抗性を示したが, 加熱凝固卵白の場合ではよく消化された. オボトランスフェリン (OT) のペプシン消化は, 生および加熱凝固卵白に拘わらず, よく消化された. OTのパンクレアチン消化は, 生卵白の場合で強い抵抗性を示したが, 加熱凝固卵白ではよく消化された. これらの結果から, 卵白タンパク質の消化性は, 胃腸管の消化酵素の種類と卵白の生, または加熱凝固の状態により異なることが示された. また, 実際に生卵白を摂取した際, OAは, 胃腸管のいずれの消化酵素においても消化されにくいが, OM, またはOTはペプシンによりよく消化されるので, これらのタンパク質の消化には, 胃内でのペプシンによる消化能力が重要と推察された.

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