日本小児アレルギー学会誌
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低蛋白・低アルブミン血症, 発育障害を伴った重症アトピー性皮膚炎の1乳児例
八木 由奈八木 康裕堤島 英雄吉崎 万里子
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2002 年 16 巻 3 号 p. 221-225

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抄録

重症アトピー性皮膚炎に低蛋白・低アルブミン血症, 発育障害を合併した1乳児例を経験した. 症例は8ヶ月の男児. 3ヶ月頃よりアトピー性皮膚炎 (AD) が増悪したが, 自宅で様子を見ていた. 平成13年5月13日より1日8回の下痢を伴い近医を受診, 著しい低体重を指摘され, 翌日当科入院となった. 体重6.0kg (-3.25SD), 栄養状態不良で, 低蛋白・低アルブミン血症, 発達遅滞を認めた. アルブミン製剤の輸液, ポビドンヨードによる消毒, 外用剤の使用にて治療を行ったところ, 皮疹の軽快とともに低蛋白・低アルブミン血症は改善した. 低蛋白・低アルブミン血症の原因として, 摂取エネルギー不足, 皮膚からの漏出に加え, 一過性に消化管アレルギーや蛋白漏出性胃腸症を来たした可能性が示唆された. 近年, ADは増加傾向にあるが, 民間療法の氾濫等, 社会的混乱を生じている. 今後, このような症例の増加が予想され, 関係機関との連携を含めた適切な対応が必要であると思われた.

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