気管支喘息の若年者死亡 (5歳より34歳) は1980年代後半より急増した. 日本小児アレルギー学会ではその要因分析のため, 1988年喘息死委員会を設け, アンケート調査活動を発足させた. 集計結果からは, 近年の死亡例増加との関連を疑わせる2, 3の要因が指摘されたが, いずれも統計学的に有意なものではなかった. しかし, 1998年以降, 若年者喘息死亡は明らかに減少し, 増加以前の死亡率を下回っている.
小児アレルギー学会では, 上記の調査活動とほぼ同期して小児気管支喘息の管理, 治療ガイドライン委員会を設定した. この委員会では治療の経験の豊かな専門医を糾合し, 最新の evidence に基づいた小児気管支喘息の管理・治療ガイドラインを2, 3年ごとに更新, 上梓している. この治療指針は専門医の秘法として扱かわれるのではなく, 最近は日常診療のゆるやかな道標として, 廣く一般医に膾表している.
若年者喘息死亡率は低減してきた. 時期的な同期性から, ガイドラインが死亡率増加のはどめ役として, 一定の役割を果した可能性は高い. そして, 喘息死症例の検討がそのささやかな端緒となったのかもしれない.
残念ながら, 本年度喘息死委員会に寄せられる死亡例は, 再び若干増加の気配を見せているという. 今しばらく慎重な経過観察が必要と思われる.