1991 年 5 巻 3 号 p. 114-121
徐放性テオフィリン製剤によりRTC療法中の患者で, 一回の服薬後に二回以上血中テオフィリン濃度を測定し得た60例, 144回のデーターをテオプレディクトーIにより解析した. 得られた薬物動態パラメーターは同一患者内においても患者間と同じように大きく変動していた. したがってベイジアン法を用いて解析を行う場合にも, 一回の解析で得られたパラメーターをそのまま Population Parameter として用いるのは危険で, 多数の症例の平均値を用いるのが良いと考えられた. 夜間には日中に比して血中濃度が低下する傾向があったが, それはARが低下しCLが亢進するためと考えられた. また解析の結果計算された至適投与量も大きく変動していたので, 一回の解析で指示された量をそのまま長期間投与するのは危険で, 度々のモニタリングにより投与量を変更する必要があるだろう. テオロング顆粒投与の場合に比して, テオドール錠の場合の方がARが有意に小さく, テオドール錠の方が徐放性に優れているものと考えられた.