日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
テオフィリン中毒に対する活性炭療法の検討
大城 清彦市川 邦男岩崎 栄作馬場 實
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 7 巻 1 号 p. 16-22

詳細
抄録

テオフィリン中毒に対し活性炭療法を行い有効と考えられた2症例を報告するとともに, 活性炭のテオフィリン吸着能, 吸着速度および吸着における溶液のpHの影響につき基礎的検討を加えた.
症例1は4歳6ヶ月の気管支喘息発作にて入院中の男児で, アミノフィリン持続点滴療法と同時に徐放性剤を内服し, 手指振戦を認め, 血中テオフィリン濃度が36.88μg/mlであったため活性炭0.5g/kgを内服した. 活性炭内服後2時間半における消失速度定数は0.158/hであった. 症例2は12歳6ヶ月の同じく気管支喘息発作入院中の女児で, 徐放性剤内服中に気分不快感を訴え, 血中濃度28.79μg/mlであったため活性炭0.5g/kgを内服した. 活性炭内服後1時間50分の消失速度定数は0.148/hであり, 両症例とも本療法は有効であったと考えられた.
次に基礎的検討をおこなったところ, 7.4gの活性炭に約1gのテオフィリンが吸着した. また吸着は秒単位で進行し, 活性炭添加45秒後には52%, 5分後には79.7%が結合した. さらにテオフィリン溶液のpHが2, 5, 10の場合の活性炭吸着能を比較したところ, pH5における吸着能がもっとも優れていた.

著者関連情報
© 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top