抄録
施設入院療法を行った喘息児を通年性になってから2年以内と3年以上の2群に分け, 患者背景, 使用薬剤, 呼吸機能, 気道過敏性, 運動能力について, 入院時と退院時とで検討した. その結果, 1) 入院時には患者背景, 使用薬剤, 気道過敏性, 運動能力に差は認められなかったが, 呼吸機能は3年以上群で有意に低値を示した. 2) 入院時と退院時を比較すると, 両群とも施設入院療法により一部を除き使用薬剤は減量あるいは中止され, 検査成績も改善した. 3) 退院時の両群の検査成績を比較すると, 3年以上群では2年以内群に比べ, 一秒量, PEFR, V50, V25とアセチルコリン閾値が有意に低値を示し, 改善が劣っていた. 以上より喘息児が重症化した場合には薬剤による見かけの症状の改善に満足することなく, アレルゲンや気道刺激物の整備, 心身の鍛錬などを積極的に指導することや施設入院療法を考慮することが重要と考えられた.