日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
血行動態的に部分肺静脈還流異常を呈した心房中隔形成異常の幼児手術例:非定型的三心房心との鑑別
山城 理仁森田 紀代造宇野 吉雅黄 義浩村松 宏一橋本 和弘
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2012 年 28 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

部分肺静脈還流異常症は比較的よく経験する疾患であるが, 一部は診断上, 三心房心の一部と重複しており, 明確な鑑別が困難である. 三心房心は比較的稀な疾患で, 典型例では肺静脈の還流障害により心不全症状が出現する. Lucas-Schmidt分類においては, II型は総肺静脈還流異常との異同が指摘されており, 臨床的にも鑑別が困難であるとされている. 他の病型でも部分肺静脈還流異常の一部との区別が困難であり, 厳密には区別し難い疾患群である. 今回われわれは, 心房中隔の形成異常により血行動態的に全右肺静脈右房還流を呈する異常と, 心房中隔完全欠損に合併した三心房心の鑑別が困難であった非典型例に対して心内修復術を行い良好な結果を得た. 術前の心エコー, カテーテル検査に加えて, MDCTによる心内イメージ作成が術前の手術戦略検討に有用であり, 心房中隔形成の分割線を決定することができた.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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