日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児における食後トリグリセリドおよびLDLコレステロール測定の意義
宮崎 あゆみ小栗 絢子市田 蕗子
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2012 年 28 巻 5 号 p. 274-281

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抄録

背景:近年成人では, 高コレステロール血症に加え高トリグリセリド血症(特に食後)が重要な動脈硬化危険因子として注目されている. よって本研究では, 小児における食後のトリグリセリド(TG), およびLDLコレステロール(LDLC)を測定し, その有用性を検討した.
対象と方法:対象は, 平成22年度に小児生活習慣病予防健診を受診した高岡市内の小学4年生, 中学1年生2,961名である. 身体計測に加え, 給食後1~2時間の採血で, 総コレステロール(TC), HDLコレステロール(HDLC), TG, およびLDLCを測定し, 種々の検討を施行した. さらに二次検診で空腹値が得られた対象に関して, 食後値との比較を行った.
結果:児童生徒の食後TG平均値は学年差, 性差を認めず, 50パーセンタイル値は86~90 mg/dlで, 全国集計の空腹値より20~30 mg/dl高値であった. また食後TGはBMI, 肥満度, 動脈硬化指数, non-HDLC(TC-HDLC), LDLCと正相関, HDLCと逆相関を認めたが, 食後高値例は必ずしも空腹時高値ではなかった. LDLCはnon-HDLCときわめて良好な相関を認めた(r=0.98, p<0.001).
結論:食後TGは小児生活習慣病健診でのメタボリックシンドロームのスクリーニング指標として有用である. LDLCはnon-HDLCより推定可能であり, 直接測定の必要性は低い.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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