日本小児循環器学会雑誌
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原著
胎児診断された先天性心疾患における右側大動脈弓の頻度と 胎児心スクリーニングにおける有用性
川滝 元良康井 制洋上田 秀明麻生 俊英
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2014 年 30 巻 3 号 p. 279-284

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抄録

背景:先天性心疾患(CHD)の胎児診断率は低率であり,単心室疾患が多くを占めている.二心室疾患のスクリーニングには流出路の観察が必要不可欠であるが,普及していない.
目的:胎児診断されたCHDにおける右側大動脈弓(RAA)の頻度を明らかにし,新しい胎児心スクリーニングポイントにできるかどうかを検討する.
対称と方法:1993~2010年までに胎児心精査が行われ,動画が保存されていたCHD 759例を含む3,557例を対象とした.
結果:12.9%にRAAが合併し,RAAの81.0%にCHDが合併していた.Fallot四徴症(TOF)38.2%,両大血管右室起始(DORV)18.9%,完全大血管転移症24.1%と円錐動脈幹奇形に高率に合併していた.また,13トリソミーが0%,18トリソミーでは5.8%,21トリソミーでは5.4%と低率,22q11.2欠失症候群では75%と高率であった.
結論:RAAは円錐動脈幹奇形および22q11.2欠失症候群に高率に合併していた.RAAは新しい胎児心スクリーニング法として役立つ可能性が示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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