日本小児循環器学会雑誌
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原著
ドロップアウトを経験したACHD症例の実情と問題点に関する検討
中川 直美鎌田 政博石口 由希子
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2014 年 30 巻 4 号 p. 456-464

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抄録

背景:ACHD患者では定期受診を怠ることで病状が悪化し,高度な管理が必要となる可能性がある.
目的:ドロップアウト(DO)を経験したACHD患者の問題点と対策について検討すること.
対象と方法:ACHD患者56例61回のDO.A群:DO後,再診した27回/26例,B群:DO後受診がない34回/34例に分類.診断,手術歴,DO時年齢,NYHA分類,DOの理由,再診理由,再診時の病歴紹介の有無,再診後の治療,転帰を調査,分析した.
結果:A群:DO年齢15歳以下3例,16〜19歳12例,成人期12例.DOの理由:小児期は診断/治療不能,思春期は自覚症状なし,治療拒否,成人期は自覚症状なし,治療拒否,転居が多かった.再診理由は自覚症状が多く,他の理由での受診例より状態が悪かった.再診時に18例(67%)で病歴把握が困難だった.再診の全例で治療介入を必要とし死亡1例を除きNYHA分類は維持/改善した.B群:NYHA class I 28例と大多数が軽症例であったがclass II 6例中4例にDOの既往あり.郵送連絡したうち5例(15%)のみが受診した.
結語:ACHD診療においてDOは非常に大きな問題であり,われわれ循環器小児科医は,移行期,移行後のDOを防ぐべく,小児期からの十分な説明,教育を施しておくことが重要である.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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