目的:修正大血管転位症(ccTGA)に対する術式別の遠隔成績と問題点を調査し,最適な治療戦略を検討すること.
対象と方法:1977〜2013年に当院で診療を行ったccTGAに対する根治手術後患者71例(機能的修復手術 45例,解剖学的修復手術 14例,Fontan型手術 12例)を対象とし,診療録より後方視的に検討した.
結果:死亡は7例で,機能的修復手術後の遠隔期死亡6例(うち5例でTVR施行),解剖学的修復手術後の急性期死亡1例であった.術後生存率や再手術率は各治療群間で有意差はなかったが,機能的修復手術群ではTVRを要した症例で術後生存率が低い傾向が認められた(20年生存率TVR有 58.6% vs TVR無 96.3%).解剖学的修復手術群ではJatene型DSは耐術すれば再手術もPMIもなく最も予後良好であったが,Rastelli型DSは再手術やPMIが高率に必要であった.Fontan型手術群は全例が生存していたが術後遠隔期合併症(PLE,肝腫瘍)を認めた.
結論:ccTGAでは合併心奇形の有無や特徴によりリスクを層別化して個々の病態に応じた治療戦略を立てていくことが重要である.