日本小児循環器学会雑誌
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Tissue-Engineered Vascular Grafts in Pediatric Cardiovascular Surgery -Past, Now, and Future
新岡 俊治
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2014 年 30 巻 5 号 p. 514-522

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抄録

 さまざまな種類の細胞が血管再生治療に用いられているが,筆者らのグループでは骨髄単核球を生体吸収性ポリマーに播種したTissue-engineered血管を使用した臨床治験を行っている.マウスモデルを用いて播種された骨髄単核球の定量を行った結果,約24時間でscaffold上の細胞は大部分が消失することが明らかとなった.この結果から,播種された細胞自体が分化し組織形成やリモデリングに寄与している可能性は低く,たとえそのような細胞があったとしても,その数は非常に少ないと考えられる.むしろ,これら播種された細胞は,移植後,急性期の血栓形成を抑制し,生理活性物質を放出し,脈管形成や組織形成に貢献していると考えられる.マウスモデルを用いた下大静脈置換実験では,骨髄単核球の播種により,移植後のTissue-engineered血管の狭窄・閉塞が減少し,より良好な組織形成に貢献することが示されている.現在もFDA承認下の臨床治験が進行中であるが,今後は細胞播種をしない第二世代のTissue-engineered血管の臨床研究も必要と考えられる.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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