日本小児循環器学会雑誌
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原著
超低出生体重児にみられた高肺血流性先天性心疾患に対する段階的治療
加藤 温子伊吹 圭二郎浅沼 賀洋佐藤 慶介芳本 潤金 成海満下 紀恵新居 正基田中 靖彦大崎 真樹坂本 喜三郎小野 安生
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2014 年 30 巻 5 号 p. 556-562

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抄録

背景:超低出生体重児(ELBWI)の救命率は近年著しく改善しているが,ELBWIにおける心疾患に対する治療報告はいまだ少ない.ELBWIに高肺血流性心疾患を合併し,長期呼吸管理を要した症例に対し,積極的治療を行い根治術に到達した4症例を報告する.
症例:①女児.心房中隔欠損症:在胎29週504 g.抜管困難であり,生後2ヵ月より肺高血圧を呈したため,シルデナフィルを開始し,生後4ヵ月で根治術を施行した.②男児.完全型房室中隔欠損症:在胎26週670 g.21トリソミー.生後2ヵ月で肺動脈絞扼術を施行した後,生後4ヵ月に根治術を施行した.③男児.心室中隔欠損症:在胎27週412 g.生後6ヵ月で重度の肺高血圧を認め,酸素療法とシルデナフィルを開始した.生後11ヵ月で肺高血圧の改善を確認し,根治術を施行した.④女児.総動脈幹症:在胎29週752 gにて出生.生後7ヵ月で両側肺動脈絞扼術を施行した後,酸素療法,シルデナフィル,ベラプロストの投与を行った.2歳1ヵ月で根治術を施行した.
結論:ELBWIにおいて,長期呼吸管理を要し肺高血圧を合併した高肺血流性心疾患に対し,肺血流の制限や肺高血圧の治療を行うことによって,根治術に到達できた.ELBWIで出生した先天性心疾患症例において遅れることなく外科的,内科的治療を行うことは児の予後を改善することが示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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