日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
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先天性心疾患における左室拡張障害の意義とその基本評価
増谷 聡先崎 秀明
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2016 年 32 巻 4 号 p. 277-290

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抄録

心不全症状は,心拍出量低下,あるいはうっ血による.代償機転により心拍出量は概ね保たれるため,症状の多くはうっ血による.うっ血をもたらすのは負荷の異常,あるいは機能,特に拡張能の異常である.先天性心疾患の一部では,これらの異常を併せ持つため,機能と負荷を独立して,かつ統合して考える心室圧容積関係による分析的思考が病態把握,治療選択,治療効果予測に有用である.拡張能は,駆出率でおよそ語ることのできる収縮能と異なり,拡張期左室の弛緩と充満を一つの指標で概観することができない.さらに心エコーの拡張能指標は拡張能そのものではなく,さまざまな限界が明らかにされている.しかし,評価が難しくても,拡張能は重要である.通常の心臓カテーテル検査で,あるいはベッドサイドで非侵襲的に拡張能を把握するにはどうしたらよいだろうか? 圧容積関係と左室流入動態の理解,弛緩と充満を規定する左室stiffnessの概念理解,通常の評価法がにゴールドスタンダード評価にどこまで迫れているかの理解が必要である.その上で総合判断すれば,一見難解な拡張能はおおよそ評価可能である.本稿はこれらを概説し,先天性心疾患術後にみられる駆出率の保たれた心不全の病態と併せ,まとめたい.

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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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