日本小児循環器学会雑誌
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原著
小児期に留置した心房中隔欠損症に対するAmplatzer Septal Occluderデバイスの心房機能に与える影響
齊川 祐子安河内 聰瀧聞 浄宏田澤 星一武井 黄太百木 恒太柴田 綾蝦名 冴日髙 惠以子
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2017 年 33 巻 5 号 p. 395-403

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抄録

背景:二次孔型心房中隔欠損症(ASD)に対するAmplatzer Septal Occluderを用いた経皮的閉鎖術治療(ASO)において,心房中隔に留置された伸縮性に乏しいデバイスの中長期的な心機能への影響については不明な点が多い.この研究では,ASOの左房および右房機能に与える短期的および中期的影響について検討した.

対象と方法:ASD 45例中ASO群30例,外科的閉鎖術群(SC)15例と正常小児対照群(NC)15例を対象とした.ASO群は,閉鎖栓サイズの心房中隔長に占める割合の大小でさらに2つのサブグループに分類した.計測項目は,経胸壁心エコーの心尖部四腔断面から左房(LA)と右房(RA)の最大面積(Max),最小面積(Min).さらに心房reservoir機能の指標として,心房伸展性Distensibility (Dis)[=(Max−Min)/Min]を検討した.

結果:LA Disは,NC群(1.51±0.25)に比べASO群(1.10±0.22)とSC群(1.0±0.44)で有意に低下していた.特に閉鎖栓サイズが大きな群でよりLA Disは低下していた.一方,RA Disは,ASO群(0.87±0.27)とSC群(0.59±0.24)で,NC群(1.38±0.37)より低下していたが,閉鎖栓サイズの大小とは無関係であった.

最大心房面積は左右ともASO群とNC群で差はなかったが,最小心房面積は,ASO群のほうがNC群より大きかった.

結語:左右心房の伸展性が,ASO群およびSC群でNC群より低下していたことから,ASO治療後および外科手術後では心房性不整脈の発生など長期的な心房機能の評価と長期的予後のための経過観察が必要と思われる.

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© 2017 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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