日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
18q-症候群に対する大動脈弁置換術の一例
早津 幸弘安達 理長沼 政亮増田 信也秋山 正年木村 正人齋木 佳克
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2019 年 35 巻 3 号 p. 179-185

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抄録

症例は19歳男性で,出生時より筋力の軽度低下,難聴,口唇口蓋裂,軽度発達遅延等を認めていたが,染色体検査は行っていなかった.16歳時に心雑音を指摘され,大動脈弁閉鎖不全症の診断となり,その際に行われた染色体検査(G-band解析)にて,18番染色体部分トリソミーおよび部分モノソミーの診断[46, XY, add(18)(q21.2)]となった.包括的な医療を希望し当院へ紹介となり,大動脈弁閉鎖不全症に対し大動脈弁置換術(機械弁)を行った.病理所見では,大動脈弁は3尖とも線維性に肥厚しており,弁尖が結節状に変化していた.また,Alcian-blue陽性の粘液状基質の沈着が目立ち,中等度の変性を伴う大動脈弁の組織像であった.大動脈壁も同様に中等度以上の変性を伴う大動脈壁の組織像であった.外来経過中に行ったアレイCGH+SNP解析では,18番染色体長腕にコピー数の変化を認め,最終的には18番染色体長腕部分モノソミー(18q-症候群)の診断となった.青年期に達し心臓手術が施行された18部分モノソミーの報告はなく,若干の考察を加え報告する.

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© 2019 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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