日本小児循環器学会雑誌
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循環生理をわかって評価と治療:循環不全の管理
齋木 宏文
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2020 年 36 巻 3 号 p. 192-201

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抄録

循環不全は生命の危機に瀕した病態であり,“適切な治療によって循環動態を改善させること”は,小児循環器医師にとって最も重要な任務の一つである.不適切な治療戦略は循環を増悪させ,緊急手術や補助循環による治療を余儀なくする一方,適切な管理は,予後改善に直結する.心室血管統合関係の概念は,Frank–Starlingの心臓法則として心機能と前負荷の関係で論じられてきた循環管理の概念を,具体的に図示し,更に後負荷や拡張機能“同じ次元で考えられること”を明らかにした点で画期的である.この概念を用いることによって,数ある治療方針のなかで最も効率の良い治療を選択する根拠を示すことが可能となる.本稿では小児循環器病学の初学者を対象として,循環管理の考え方を症例とともに提示する.

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© 2020 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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