小児歯科学雑誌
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臨床
歯痛と咬合異常感を訴えた小児神経症の1例
山川 佳代中野 崇大塚 章仁徳倉 健丹羽 雅子福田 理
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2012 年 50 巻 4 号 p. 326-332

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抄録

神経症は,患者を取り巻く環境や患者自身の性格的な問題を背景とした心の葛藤を原因とする精神障害とされており,心理的な背景を基に,身体症状を訴えて歯科を受診することがある。著者らは神経症に起因すると思われる口腔内症状を訴えて来院した患児を経験した。患児は5 歳9 か月の女児で歯の痛みと咬合異常感を主訴に来院した。4 歳頃,精神科にて小児神経症の診断を受けていた。咀嚼時,就寝前に激しい疼痛を訴えたため,近在の歯科を受診した。担当医師より,痛みの原因となる所見はないこと及び左側乳歯側方歯群の交叉咬合を指摘された。その後,経過観察を行うも痛みが改善しないため,精査,治療を目的に当科を紹介受診した。治療では患児,保護者に対し受容的,支持的な対応を心がけた。患児,保護者との信頼関係が築けたところで認知療法的アプローチおよび咬合誘導治療を実施したところ,良好な結果を得た。このことから,精神的な不安が強い小児の対応に当たっては,患者の言動の背景に不安が存在することを常に考慮し,患児の訴える疼痛に対する診断・対応は歯科医師のみで行わず,精神科との連携が重要であると考えられた。

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© 2012 日本小児歯科学会
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