2016 年 54 巻 3 号 p. 371-376
小児期は顎口腔の発育が著しい時期であり,近年では小児歯科領域において三次元的な画像診断に歯科用コーンビームCT が多く利用されている。本研究では,本学歯学部附属病院小児歯科において平成20 年10 月より平成25 年10 月までの約5 年間に歯科用コーンビームCT を用いて撮影を行った323 回(撮影人数294 人,男児184 人,女児110 人。なお,撮影人数のうち22 人は経過観察などにより複数回撮影を行っている)について実態調査を行い,以下の結論を得た。
1 .目的別の撮影回数に関しては,埋伏過剰歯の精査183 回が最も多く,次いで永久歯の位置確認75 回が多い結果であった。
2 .紹介状の有無に関しては,紹介状あり197 人,紹介状なし97 人であり,紹介内容としては過剰歯の精査が120 人であり,最も多い結果であった。
3 .年齢別の撮影回数に関しては,7 歳が最も多く,撮影時の平均年齢は8.6 歳であった。
4 .部位別の撮影回数に関しては,上顎前歯部が260 回であり,最も多い結果であった。
5 .過剰歯の本数に関しては,1 本が多いものの,複数の過剰歯の可能性を考慮する必要がある事がわかった。
6 .過剰歯の萌出方向に関しては1 本では逆生が多く,2 本の時は逆生・順生,逆生・逆生が多い結果であった。
7 .過剰歯抜歯時の年齢に関しては,平均年齢は7.5 歳であり,7 歳が最も多く,次いで6 歳,8 歳の順であった。また,埋伏過剰歯の位置,患者の協力度によっては経過観察となる症例もあった。