小児歯科学雑誌
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原著
隣在歯発育段階との比較による下顎第二小臼歯歯胚の石灰化開始時期の検討
立岡 迪子岡 暁子逢坂 洋輔中村 雅子板家 智大木 調松尾 聡熊谷 徹弥馬場 篤子尾崎 正雄
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2019 年 57 巻 3 号 p. 389-395

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抄録

乳歯が存在する時期に後継永久歯の先天性欠如が診断されると,先行乳歯の保存または抜歯を含めてどのように永久歯列の完成を試みるのかしっかりとした咬合管理計画を立てなくてはならない。しかしながら,高い発症頻度を示す下顎第二小臼歯(P2)は,歯胚の石灰化開始をエックス線写真で確認できる年齢の個人差が大きく,先天性欠如を確定することが難しい。 そこで,P2 歯胚がエックス線写真で判断できる時期や先天性欠如の可能性が高まる時期の第一小臼歯(P1)と第一大臼歯(M1)の発育段階を調査し,これらを年齢以外の指標として用いることができないか検討した。

調査の結果,P2 の歯胚が初期咬頭形成期(Ci)としてエックス線写真で確認できた時期のP1 発育段階は,咬頭外形完成期(Coc)から歯冠1/2 完成期(C1/2)であること,M1 は歯冠3/4 完成期(C3/4)から初期歯根形成期(Ri)であることがわかった。また,P1 が歯冠3/4 完成(C3/4),M1 が歯根1/4 形成期(R1/4)まで観察してもP2 歯胚が確認できない場合は,先天性欠如の確率が高かまることが示唆された。P2 歯胚がCi として観察されたときの平均年齢は,3.70±0.73(男児3.82±0.89,女児3.52±0.47)歳,中央値は3.58(男児3.58,女児3.41)歳であった。

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© 2019 日本小児歯科学会
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