小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
伴性劣性遺伝と思われる完全無歯症の一症例
白川 美穂子峰松 小百合坂井 右子大西 雄三長坂 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 19 巻 3 号 p. 627-634

詳細
抄録

先天性無歯症の患者は,その大部分が他に皮膚,毛髪などの外胚葉系統の器官にも,発育異常,奇形を併発しており,これらの徴候を総称して外胚葉異形成症といわれている。本疾患の原因としては,遺伝性が関与し,無汗型は伴性劣性遺伝によるといわれている。
われわれは,3歳2カ月の初診で来院して総義歯を装着し,今回再来院した,5歳11カ月の男児の無汗型外胚葉異形成の症状を呈する完全無歯症に遭遇した。
患児は,完全無歯症のほか,寡毛症,無汗症の3徴候を伴なっており,無汗型外胚葉異形成症と診断された。眉毛は疎で,広い前額,頤部の突出,鞍鼻,口唇の翻転などの典型的な顔貌を有していた。顎顔面の発育においては,上顎骨の劣成長がみられるが,下顎骨には,特に異常がみられなかった。歯槽堤は,約3年間で,上・下顎ともに,長径,巾径に成長がみられた。母方の従兄も,部分無歯症,寡毛症,無汗症にて,無汗型外胚葉異形成症である。問診より,母の弟も同症状を認める。しかし,患児の母,その姉,姉の娘には,歯数,頭髪,発汗に特に異常を認めなかった。従って本症例は,女子が保因者で男子に発症する,伴性劣性遺伝によるものと考える。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top