1984 年 22 巻 1 号 p. 110-116
健全乳歯象牙質に対する可視光線重合レジンFotofilの浸入状態をSEMで観察した.資料としては,交換期のため,抜去もしくは自然脱落した乳歯を使用した.タービンに装着したダイヤモンドバーで,実験歯に対し乾燥下に5級単純窩洞を形成後,窩洞全体に1分間の酸処理を行った.水洗並びに乾燥は30秒間行った.次いで,Fotofilを窩洞内に充填し,Activator Lightで60秒間1回照射を行った.実験結果は下記の通りである.
1.Fotofil使用例17例中,象牙細管内にレジンの浸入が認められたのはわずか1例であり,しかも浸入レジンの長さは数μの極めて短いものであった.
2.Fotofil使用時には,乳歯象牙質に対する機械的接着力は期待できない事がわかった.