小児歯科学雑誌
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小児に対する抗生物質投与方法の検討
続性セファレキシンの小児歯科領域における応用
笠原 浩太宰 徳夫佐藤 秀明榊原 雅弘松田 厚子大村 泰一下島 丈典外村 誠今西 孝博
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1984 年 22 巻 1 号 p. 425-434

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抄録

口腔内に急性化膿性炎症症状を呈していた小児患者48例に持続性セファレキシン(L-CEX)を投与し,その臨床成績を検討するとともに,彼らの母親に対しても「お薬についてのアンケート調査」を実施した.結果を要約すると下記のようであった.
1.L-CEXの有効率は,採点法では3日連用で70.8%,5日連川で91.7%,主治医の主観的評価では93.7%と優れた効果があることが認められた.
2.消炎酵素剤の併用により,著効例が増加する傾向が認められた.
3.副作用については,軽度の下痢4例,鼻出血,嘔吐,腹部不快感各1例で,特に重篤なものはなく,投与を中止するにはいたらなかった.
4.各種の口腔内化膿性疾患に対して,短期間に高い有効率を示した.安全性も比較的高いことから,この領域での第一選択剤として位置づけてよいと考えられた.
5.在来の抗生物質では6時間毎に投与するため,夜間睡眠中や昼の通園・通学中の服用もれが生じやすいが,本剤は1日2回,朝夕食後の投与で十分な血中濃度を維持でき,家庭内で親の手から直接に投与できることは,「服ませ忘れ」を防ぐ上でも大きな利点になると考えられた.また,大多数の小児患者がそれほど嫌がらずに,むしろ喜んで服用し,拒否した者は皆無であったことから,本剤は幼児にも服みやすい薬であると考えられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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