小児歯科学雑誌
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脳性麻痺児の歯科疾患罹患状況について
桜井 聡五十嵐 公英千葉 桂子神山 紀久男
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1984 年 22 巻 3 号 p. 674-691

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抄録

脳性麻痺児の歯科治療を行う上で,その歯科疾患の状況を把握しておくことは重要である.今回,全国10の療育センター及び12の養護学校に在園,在校している脳性麻痺児811名について,歯科疾患の罹患状況及び齲蝕処置状況について調査し,次の結果を得た.
1)脳性麻痺児の齲蝕罹患は,乳歯,永久歯とも健常児に比ベて低かった.また,乳歯の齲蝕歯処置率は比較的高いが,永久歯では低かった.障害が重度の群の齲蝕罹患ならびに齲蝕歯処置率は低く,IQの低い群でも同様の傾向が認められた.
2)歯肉炎の罹患は高く,増齢に伴ない罹患者率の増加を示し,15歳児では71.1%に罹患を認めた.齲蝕罹患と異なり,障害が重度の群,IQの低い群の罹患が高かった.
3)臼歯部の咬耗をもつ者の頻度は高く,Spastic typeに比べAthetoid typeに多く認められた.
4)前歯部の不正咬合をもつ者が多く認められ,特に開咬及び上顎前突の頻度が高かった.また,障害が重度の群で開咬の頻度が高かった.
5)叢生をもつ者は増齢に伴い増加傾向を示し,15歳児では40.0%に認められる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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