小児歯科学雑誌
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臼歯用コンポジットレジンの乳歯歯髄反応について
1.A,B2社の臼歯用コンポジットレジンにおける比較
本川 渉麻生 弘久芳 陽一野見山 滋子平川 栄二吉田 穣谷口 邦久北村 勝也
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1984 年 22 巻 4 号 p. 861-870

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抄録

最近ではコンポジットレジンのめざましい物性の向上とともに,臼歯用コンポジットレジンの開発が進み,現在,各種製品が市販され,乳臼歯にも頻繁に用いられるようになってきた.しかし,生活歯にコンポジットレジンを使用する場合,その歯髄に対する影響は無視できない.そこで,今回A,B2社の臼歯用コンポジットレジンを幼犬乳歯に用いて,その歯髄に対する反応を比較検討するために,病理組織学的検索を行なった.
実験には生後2~3ヵ月の幼雑犬の左右上下顎C,PM1,およびPM2を用い,窩洞形成後,右側にはA社,左側にはB社の臼歯用コンポジットレジンを充填,3日,7日,14日および21日目に屠殺し,通法により病理組織標本を作製,鏡見した.結果は次の通りである.
1)A,B社の製品ともに,歯髄の反応に大きな差は認められず,3日目には窩洞形成の機械的刺激によると考えられる反応を認めたものの,日数が経過するにつれて修復象牙質が形成され,回復傾向を示した.
2)A,B2社の製品とも,窩底象牙質の厚さが通常の深さの場合には,歯髄の変化に差は認められなかったが,100μ 以下の深い窩洞では,A社のものの方がやや歯髄刺激性は少ないように思われた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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