小児歯科学雑誌
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乳幼児の咀嚼育成に関する研究 第1報離乳食の咀嚼状態について
白川 美穂子岡本 潤子森尾 善子三浦 一生長坂 信夫
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キーワード: 乳幼児, 離乳食, 咀嚼状態
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1985 年 23 巻 3 号 p. 666-677

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抄録

我々は,咀嚼育成の初期の時点である離乳期をとりあげ,咀嚼機能の発達経過を知るため,統一された離乳が行われている保育園児を対象に,2週間間隔で食事調査と乳歯萌出状態調査を行った。対象児は,満4カ月から15カ月までの健康な乳幼児20名である。離乳食の摂取および咀嚼状態について,月齢別,離乳進行の時期別,乳歯の萌出型別に検討し,以下の結果を得た。
1)離乳食の食形態は,前期はペースト状,中期は舌でつぶせる固さ,後期は歯ぐきでつぶせる固さのものであり,後期食は前期食の約10倍の硬さであった。
2)離乳食摂取状態は,外見的に9項目に分類できた。
3)「もぐもぐよく口を動かす」は,月齢とともに増加し,15カ月で100%になり,乳歯の萌出型で見ると,上下顎乳中切歯4本萌出時に著しい増加が見られた。
4)「2-3回もぐもぐして飲み込む」は,6・7・8カ月の中期に増加して,以後減少し,15カ月では消失した。
5)「舌をよく突き出す」は,4-5カ月では約90%と高率を示したが,以後急激に減少した。
6)「チュッチュッ吸うように食べる」は,11カ月ころに最も多く認められたが,15カ月では減少傾向にあった。
7)他の食べかたは,離乳食の進行で見ると前期から中期にかけて,萌出型では,下顎乳中切歯2本萌出までに認められたが,15カ月では消失した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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