小児歯科学雑誌
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Naixan(Naproxen)の小児歯科領域における鎮痛効果の検討
二木 昌人中田 稔
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1985 年 23 巻 4 号 p. 1050-1056

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抄録

九州大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した患児のうち200例について,主として抜歯後を対象としたNaixan(Naproxea)の鎮痛効果の調査を行なった。
投与量は1回投与量を5mg/kgとし,10mg単位で散剤として投与した。また,投与方法によって予防投与群と頓用群各100例ずつに分類し,両群間の比較を行なった。
調査方法は,患児の保護者に質問表の記入を依頼し,その返答により調査内容の情報を得た。鎮痛効果と併せて,頓用群での処置後の痛みの経渦,効果発現時闘,また,服用のしやすさ,副作用の有無等についても同時に検討を行なった。
その結果,鎮痛効果については,著効または有効と判定されたものが,頓用群85.3%,予防投与群76.5%,両群あわせて78.8%であった。服用のしやすさについては94.6%が問題なく服用できていた。また,効果発現時間については,頓用群で30分以内に効果があったと判定されるものが83.3%であった。副作用については,明らかなものは認めなかった。これらを総合的に検討した結果,鎮痛に対するNaixan(Naproxen)の小児歯科臨床における有用性を認めることができた。
また,頓用群において,痛みがなく服用しなかったものは27%に過ぎなかったという結果が得られていることから,小児歯科における抜歯等の観血的処置後は,鎮痛剤の処方をしておいた方が良いと考えられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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