小児歯科学雑誌
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コーンシロップの齲蝕誘発能
橋田 恵子泉谷 明墨 典夫楽木 正実大嶋 隆祖父江 鎮雄
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1985 年 23 巻 4 号 p. 993-1000

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抄録

マルトースを主成分とするコーンシロップの齲蝕誘発能を,in vitro及びラットを用いた実験齲蝕系で調べた。
S.mutans によるコーンシロップからの酸産生能,S.mutans 菌体のガラス平面付着に及ぼす影響及び不溶性グルカン合成に及ぼすコーンシロップの影響を調べた。実験齲蝕によるコーンシロップの齲蝕誘発能は,18日齢ラットに S.mutans MT8148R株あるいは6715株を感染させ,スクロース,コーンシロップ,パラチノース,小麦粉,あるいはその混合物を含む飼料で55日間飼育した。
その結果,コーンシロップはS.mutansの酸産生の基質となり得たが,コーンシロップ濃度の増加とともに,S.mutansのガラス平面付着が抑制される傾向が認められ,さらに不溶性グルカン合成が著明に阻害された。また,コーンシロップ投与群ラットのプラーク指数及び齲蝕スコアは,スクロース投与群よりも有意に低かった。しかし,小麦粉やパラチノースのように非齲蝕原性は認められなかった。
以上の結果から,実験に供したコーンシロップは,少なくとも極めて低い齲蝕誘発能しか有さない甘味糖であることが示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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