小児歯科学雑誌
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重症心身障害者の口腔管理
第1報 各種齲蝕活動性試験の応用
細矢 由美子古豊 史子國松 尚美後藤 讓治馬場 輝美子
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1986 年 24 巻 4 号 p. 669-682

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抄録

重症心身障害者病棟に入院中の5 歳5 カ月から3 5 歳3 カ月( 平均年齢1 7 歳9 カ月)の患者62名(脳性麻痺:44名,その他:18名)について,各種齲蝕活動性試験(カリオスタット,RDテスト,改良MSBB,エナメル生検)を行い,患者の齲蝕罹患状況,病状並びに生活状況との関連性について調査した。
1)患者の齲蝕罹患状況は,def歯率43.6%,1人平均def歯数3.8,DMF歯率49.6%,1人平均DMF歯数11.5であった。
2)カリオスタットの判定結果とDMF歯率及び1人平均DMF歯数間に有意な関連性がみられ,スコアの高い者ほど高い齲蝕罹患度を示した。しかしながら,RDテスト並びに改良MSBBの結果と齲蝕罹患度との間には,関連性がみられなかった。
3)食事の形態別にみた齲蝕活動性試験の結果,RDテストでは,普通食に近い群ほどスコアがHの者が有意に少なかった。
4)ブラッシング回数別にみた齲蝕活動性試験の結果,RDテストでは,1日3回群の方が1日1回群よりもスコアがHの者が有意に少なかった。
5)エナメル生検の結果,患者とコントロール群間の溶出Ca量に有意差はみられなかった。
6)エナメル生検法による溶出Ca量とDMF歯数間にr=-0.43で負の相関がみられ,歯質の溶解性が大きい者ほど齲蝕経験指数が高いというような傾向は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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