抄録
障害者歯科医療の需要側の実態を調べる目的で,大阪府下にある障害者のための学齢前施設,養護学校,学齢後の更生施設,授産施設にアンケート調査を行ったところ以下の結果を得た。
1)歯科検診が行われていたのは学齢前施設78%,養護学校93%,学齢後施設45%で,検診結果の保護者への通知,治療のチェックは学齢後施設以外ほとんどの所で行われていた。
2)学齢前施設65%,養護学校96%,学齢後施設23%において嘱託医あるいは校医がいたが,そのうち予防活動まで行っていたのは6~7割で,治療に積極的なものは約半数であった。
3)治療を受ける医療機関として学齢前施設では障害者歯科専門医が多かったが,養護学校,学齢後施設では開業医が多かった。治療を依頼する医療機関または治療してくれる開業医がいるところは学齢前施設74%,養護学校71%,学齢後施設73%であった。
4)齲蝕歯は学齢前施設では少なかったが養護学校,学齢後施設では5~10本というのが約半数あった。歯科の受診状況は学齢前施設では良かったがそれ以外では全般的に悪かった。5)昼食後の歯磨き及び歯磨き指導はいずれも7~8割は行なわれていたが,清掃状態が比較的良いと回答したのは学齢前施設だけで,それ以外は清掃不良というのが半数以上あった。特に精神薄弱の場合に清掃不良という回答が多かった。