小児歯科学雑誌
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カルシウムの成長期顎骨に及ぼす影響に関するX線学的検索
木村 光孝内野 公一佐藤 秀輝竹中 正史原田 和巳粟生 悟
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1987 年 25 巻 3 号 p. 521-530

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抄録

従来から本邦は世界各国のなかでもカルシウム摂取量が最も低い国であるが,その改善法あるいは改善による骨組織に及ぼす影響の程度については未だ報告されていない。そこで著者らは,生後3週齢のラットを用いて,本邦において最も漁獲量が多いイワシをカルシウムの栄養源として利用し,成長期顎骨と大腿骨に及ぼす影響について検討した。
その結果,X線学的および光学的に実験後7週目までは標準食を与えた対照群の歯槽骨と大腿骨の骨濃度はイワシパウダーの混合食を与えた実験群よりも高い濃度を示したが,実験後8週目からは実験群のほうが高い濃度を示した。写真濃度としては,対照群の歯槽骨と大腿骨の骨濃度は実験群のものよりも速く増加しているものの,実験後8週目からは逆に減少した。実験群の骨濃度は実験日数の経過と共に安定した増加現象がみられ,しかも実験後8週目からは対照群の骨濃度よりも高くなった。
以上の結果から,成長期歯槽骨と大腿骨の骨組織は,イワシパウダーの摂食によって骨形成の増加効果があることが実証された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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