小児歯科学雑誌
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小児の歯科診療時の協力性に関する研究
第3報 小児の人格的要因と歯科受診時の行動との相関性
原田 桂子西野 瑞穂有田 憲司岡本 多恵中川 弘佐々木 保行鈴木 敏昭
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1987 年 25 巻 4 号 p. 830-839

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抄録

われわれは,歯科診療室における小児の行動を理解し,歯科診療時の協力性を向上させるために,幼小児の心理的しくみについての科学的実証的研究を続けている。
今回は,「幼児社会性発達検査」,「マッチングテスト」,「歯科診療意識調査」による小児の人格的要因と歯科診療時の行動観察による治療協力度との相関性について調査分析した。
対象児は3歳から7歳までの小児,男児22名,女児10名の計32名である。幼児社会性発達検査は対象児の母親に記入させ,マッチングテスト,歯科診療意識調査は小児一検査者という2者関係で行い,待合室から治療後退室までの小児の行動観察は鳴門教育大学修士課程の大学院生が行った。小児の歯科治療は卒後3年から6年の小児歯科医2名が行った。結果は次のとおりであった。
1 ) 幼児社会性発達検査では, 「運動・安全」および「集団行動」の2 領域で, 治療適応群が不適応群に比べ,社会性発達度が高い傾向を示した。
2 ) マッチングテストでは, 熟慮型, 衝動型という認知スタイルと, 治療適応性との間に関連性は認められなかった。
3 ) 歯科診療意識調査では, 受診動機, 健康意識については治療適応・不適応群に差はなかったが,適応群では治療に対する忍耐性が高かった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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