小児歯科学雑誌
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日本人小児の唾液より分離されるStreptococcus mutansの諸性状と齲蝕罹患状態との相関について
藤原 卓武井 勉河野 仁美笹田 英子泉谷 明大嶋 隆祖父江 鎮雄
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キーワード: S. mutans, 齲蝕, 唾液
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1988 年 26 巻 3 号 p. 556-563

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抄録

健常日本人小児327名の唾液よりStreptococcus mutansを分離し,唾液中菌量,血清型,ガラス管壁への付着率,グルコシルトランスフェラーゼ活性を調べた.これらの指標と小児の齲蝕罹患状態を示す指数との相関を全保菌者を対象に,さらにc/e/f型のS.mutansを保菌する群(c/e/f群),d/g型のS.mutansを保菌する群(d/g群),両者を保菌する群(混合群)に群分けして検討した.
その結果S.mutansの分離頻度はc/e/f群75.9%,d/g群15.7%,混合群8.4%であった.c/e/f群とd/g群の保薗者では齲蝕罹患状態および唾液中S.mutans数に明確な差が認められなかったが,混合群のそれらは他の2群よりともに高い傾向を示した.全保菌者,c/e/f群,d/g群では,唾液中のS.mutans数と齲蝕罹患状態との間に有意の相関が認められた.この相関性はc/e/f群の方がd/g群より強かった.さらに分離した菌別に見ると,c/e/f型あるいはd/g型のS.mutansのガラス管壁への付着率とそれらの保菌者の齲蝕罹患状態との間には有意の相関がみられ,その相関性はd/g型の方が明確であった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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