小児歯科学雑誌
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幼児における栄養と齲蝕の現状
太田 信子箙 早苗森 律子小山 トク渡辺 孝夫
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キーワード: 齲蝕, 食生活, 幼児
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1988 年 26 巻 3 号 p. 564-576

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抄録

埼玉県大宮市一歯科医院で実際に行われた食生活指導の資料を用い個人歯科医院に来院した3歳から5歳までの幼児患者96人(男46人,女50人,平均年齢3.9歳)の食生活の実情を調査した.その結果,齲蝕罹患患者数は90人で齲蝕保有率は93.8%であった.厚生省齲蝕罹患型分類によるとO型6人,A型12人,B型42人およびC型36人で齲蝕の重症の型で大半を占めていた.
1人1日平均食品群別摂取量から香川の目標値を基準とした充足率をみると全体では11食品群のうち緑黄色野菜,乳および乳製品,卵類,芋類,淡色野菜,油脂など8種に摂取量不足がみられ,特に重症のC型では不足する食品群の数が10種と最も多かった.砂糖類,その中でも乳酸飲料の摂取量は齲蝕罹患型の重症程増加していた.1人1日平均栄養摂取量について厚生省59年度3~5歳児栄養所要量を基準に栄養素の充足率を求めたが全体ではカルシウム,ビタミン類は過剰,エネルギー,鉄,蛋白質は不足を示し,齲蝕罹患型の重症で鉄は有意に不足していた.1人1日平均食品数は20.3種で極めて少なかった.また,これは僅かであるが齲蝕罹患型の重症程減少していた.その他栄養比率,動物性蛋白質対植物性蛋白質比,間食の回数,食事と間食の比率を求めたが齲蝕罹患型別に有意な所見はみられなかった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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