小児歯科学雑誌
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成長発達に伴う咀嚼筋の筋活動量ならびに咀嚼リズムの変化に関する研究
アルバラード グアダルーペ・ラリナガ寳田 貫西田 文彦西野 瑞穂
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1989 年 27 巻 4 号 p. 895-906

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抄録

咀嚼筋の成長発達に伴う機能的変化を知る目的で, H e l l m a n の歯牙年齢I I A 期の小児6名および成人6名について,規定動作時における側頭筋前腹および咬筋の筋活動量ならびに咀嚼リズムの分析を行った。筋活動量は,軟化チューインガム咀嚼およびクレンチング時の筋電図波形のFFT処理によるエネルギーパワースペクトルから算出した。咀嚼リズムについては,軟化ガム咀嚼時の筋活動時間(duration),間隔時間(interval),および周期(cycle)を計測するとともに,それらの変動係数を算出した。得られた結果は次のとおりであった。
1.ガム咀嚼時およびクレンチング時の筋活動量は,小児では全て側頭筋主働型であったが,成人では側頭筋主働型,側頭筋咬筋並働型および咬筋主働型の3つの型が認められた。
2.ガム咀嚼時には,小児においても成人においても,作業側の方が平衡側に比較して筋活動量が大きく,右嚼みの方が左嚼みよりその比率がやや大であった。
3 . クレンチング時には, 小児においても成人においても, 右側の筋が左側の筋に比較してやや大きな筋活動量を示した。
4.ガム咀嚼時のduration,intervalおよびcycleは,小児と成人との間に統計的有意差はなかった。
5.Duration,interval および cycle の変動係数は,いずれも小児に比較して成人の方が小さく,咀嚼リズムが安定していた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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