ヒト赤血球に含まれているα-トコフェロールは,ヘマトポルフィリン存在下,光増感反応によって酸化された.この酸化に対しての一重項酸素分子,スーパーオキシドラジカル,それに過酸化水素の関与の程度は非常に小さかった.ケルセチンはこの光酸化反応を抑制し,それに伴い,ケルセチンが酸化された.ケルセチンによるα-トコフェロールの光酸化抑制機構を推定する目的で,α-トコフェロールをPBS液に懸濁した場合のα-トコフェロールの光酸化に対するケルセチンの効果と,ケルセチンをPBS液に懸濁した場合のケルセチンの光酸化に対するα-トコフェロールの効果を,光増感剤としてヘマトポルフィリンを用いて,リノール酸の存否の条件下で調べた.ケルセチンは二つの条件下で共にα-トコフェロールの光酸化を抑制した.ケルセチンの光酸化はリノール酸が存在しない場合にはα-トコフェロールによって抑制されたが,リノール酸が存在する場合,α-トコフェロールはケルセチンの光酸化を促進した.