小児歯科学雑誌
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咀噛筋の発達に伴う筋電位伝導速度の変化
第1報 計測方法について
真部 滋記田村 康夫宋 政文吉田 定宏
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1990 年 28 巻 3 号 p. 685-691

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抄録

小児の発達に伴う咀嚼筋の筋電位伝導速度(Muscle Fibre Conduction Velocity,以下MFCV)を検討する目的で今回その基礎的研究を行った.すなわち,成人における上腕二頭筋と咬筋について,表面筋電図を応用しMFCVの計測方法について検討した.
被検者は顎口腔機能に特に異常を認めない成人3名を対象とし,肘関節を約90°に固定した時の上腕二頭筋及び中心咬合位における咬筋の等尺性収縮を指示した.電極は皿型銀電極を応用し,直列連動型としたものと並列独立型としたもの,さらにステンレス製電極(幅1mm,長さ10mm)を5mm間隔で各々平行に固定し直列連動型としたものの3通りのアレイ式電極を使用した.データ処理には,FFTアナライザーを用い相互相関関数による分析を行った.そして電極の種類を変えた場合と,また時足数を0.003,0.01,0.03secと変化させた時のMFCVについて検討し,以下の結果を得た.
1)MFCVを観察する場合連動型電極が有効であり,特に咬筋の場合電極間距離の短いステンレス製直列連動型電極が有効であった.
2)上腕二頭筋において筋電図記録時の時定数を0.003,0.01,0.03secと変化させても各々被検者内で遅れ時間に有意差は認められず,MFCVへの影響は認められなかった.
3)ステンレス製直列連動型電極使用時のMFCVは咬筋で14.28±1.21m/sec,上腕二頭筋で4.13±0.29m/secであった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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