小児歯科学雑誌
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富士見町小児の歯科齲蝕疫学調査
第2報 齲蝕増加と生活環境との関連
石井 香尾崎 正雄久保山 博子新村 健三塚本 末廣本川 渉
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1990 年 28 巻 4 号 p. 1048-1055

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抄録

齲蝕罹患状況の把握及び齲蝕減少に向けての今後の口腔衛生指導の具体的な示唆を得ることを目的として,人口動態の少ない山村地区である佐賀県佐賀郡富士町に在住する保育園,幼稚園,小学校,中学校の全小児を対象として1987年と1989年に歯科疫学調査を行った.その結果,次のことが明らかになった.
1)1987年と1989年の比較では年齢別乳歯,永久歯の齲蝕罹患状態は減少傾向が窺えるが,まだまだ高齲蝕罹患傾向が認められた.
2)また,齲蝕の増加は萌出間もない幼若永久歯の時期に急激であるために特に,この時期の指導が必要であると思われた.
3)そこで,本調査地区での幼若永久歯齲蝕急増傾向の改善のための具体的な指導項目として,「冷蔵庫の中にジュース等の飲料類を入れておかない」「おかしは与え方に工夫し保護者がきちっと管理する」「歯磨きは幼児期より磨く習慣をつけ,この時期はまだ保護者が仕上げ磨きをする」等があげられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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