小児歯科学雑誌
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診療室内への母親の入室が診療スタッフに及ぼす影響について
石川 隆義宮崎 幸子宮崎 結花長坂 信夫
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1990 年 28 巻 4 号 p. 1075-1083

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抄録

小児を取り巻く歯科医療環境を構成する要素の一つである母親及び診療スタッフに着目し,母親の診療室内への入室の背景と母親が診療スタッフに与える心理的影響について調査・検討を行った.対象は,本学小児歯科外来を受診した小児100名,その母親100名,診療にあたった術者延べ100名,アシスタント延べ90名である.そして,母親の入室の背景を調査するために,母親へは「母子間の心理的距離テスト」とアンケートを,診療スタッフには「テイラーの顕在性不安検査」を実施した.また,母親の診療スタッフへの心理的影響については,認知・情緒・欲求・評価の心理過程についてのアンケートを行い,以下のような結果を得た.
1)母親の入室・非入室かの判別寄与度の高い要因として,来院経験,小児の治療への適応度,出生順位,術者の臨床経験,小児の年齢が抽出された.
2)非入室群の方が入室群に比し,母子間の心理的距離は大きな傾向を示し,「子供の機嫌が悪く母親の機嫌の良い時」,「子供の機嫌の良い時」の2場面で統計的有意差を認めた.
3)母親の診療室内での不安度が,術者のイライラ感や,アシスタントによる「母親の不安認知」に影響を及ぼしている事が認められた.
4)術者の臨床経験の違いにより,母親の不安認知に有意差が認められた.また,臨床経験の多い術者の方が母親や自分自身をポジティブに評価した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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