小児歯科学雑誌
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Nd:YAGレーザー照射によるエナメル質形成不全歯への耐酸性付与に関する実験的研究
橋本 雅子
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1990 年 28 巻 4 号 p. 956-967

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抄録

レーザー照射によりエナメル質に耐酸性が付与されることは,多くの研究により明かにされ,近年,Nd:YAGレーザーが特に有用であることが報告されている.そこで本研究は,連続波Nd:YAGレーザーを用い,その耐酸性付与の効果を,齲蝕抵抗性の低いエナメル質形成不全歯の齲蝕予防に応用することを考え,基礎的実験を行い次の結果を得た.
1)微小管阻害薬であるcolchicineをラットに投与することにより,ラット切歯に実験的なエナメル質形成障害部を作り,その組織学的特徴および耐酸性について検討した.その結果,ラットのエナメル質形成障害部は鉄の沈着が認められず,エナメル質表面には,著しい波状の隆起が認められ全体として粗造な面を形成している.また,乳酸で処理した後の観察により,エナメル質形成障害部は,正常な部位に比べて耐酸性が低いことが明らかになった.このことより,colchicine投与により生じるエナメル質形成障害部は,ヒトのエナメル質形成不全歯を研究する際のひとつの実験モデルになりうると思われる.
2)実験的なラット切歯のエナメル質形成障害部に,照射エネルギー密度10J/cm2で連続波Nd:YAGレーザーを照射したところ,照射前に認められた著しい隆起状構造や小孔が減少あるいは消失し,照射部位全体にわたり平坦化が認められた.またレーザー照射後に乳酸で処理すると,レーザーを照射したエナメル質形成障害部には十分な耐酸性が付与され,脱灰が生じなかった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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