小児歯科学雑誌
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地域乳幼児歯科保健管理に関する研究
第1報 齲蝕発生要因に関する分析
西野 瑞穂有田 憲司粟飯原 靖司阿部 敬典那須 邦子阿部 典子三木 真弓
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1991 年 29 巻 2 号 p. 362-372

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抄録

乳歯齲蝕の罹患状況には地域差のあることが明らかにされており,地域における乳歯齲蝕の減少率を加速し,効果的に齲蝕を予防するためには最小のマンパワーで最大の効果をあげ得るような歯科保健プログラムが組まれ,データベースシステムで情報処理の高速化,高精度化をはかり,成績を測定,評価する必要がある.
われわれは,独自に開発したデータベースシステムにより,1986年6月から徳島県名西郡石井町の乳幼児歯科保健管理を行っているが,本研究では1984年11月から1988年10月までの4年間に生まれた乳幼児1085人を対象に,保育環境,齲蝕罹患状況の年次推移ならびに齲蝕発生要因の分析を行った.得られた結果の主なものは次のとおりである.
1)被験小児は第2子以上が55.8%で,平均同居家族数は5.1人,7人以上の家族は18.0%であった.祖父,祖母あるいは祖父母と同居しているものはあわせて56.0%,祖父母が近所に在住しているものは26.1%であった.
2)1984年11月~1985年10月生まれのものに比較して,それ以後生まれたもので齲蝕の初発年齢の若年化がみられたが,1987年11月~1988年10月生まれのもので初発年齢は上がった.
3)1歳6カ月,3歳,5歳の各年齢群で齲蝕発生に影響を与える主たる要因は異なったが,いずれの年齢群においても,プラークの付着状態,子供のカリオスタット48時間値,父親の職業,母親の職業,母親の齲蝕予防への関心ならびに同居家族数の6つの要因が上位10位以内に入っていた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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