1991 年 29 巻 3 号 p. 626-631
小窩裂溝填塞材(以下,シーラントと略す)は小窩裂溝齲蝕の予防手段として,とりわけ小児歯科診療領域で広く用いられている.本研究で用いた光重合型フッ素徐放性シーラント(以下Teethmate-Fと略す)は,従来のシーラントの物理的齲蝕抑制効果に加えて,フッ素を約1wt%含有し,口腔内でフッ素を徐々に放出して,填塞小窩および周囲の歯質ヘフッ素を供給することによって,歯質の化学的強化をはかるシーラントである.本研究では一液性に改良されたTeethmate-Fを用いて,それを萌出後間もない幼若永久歯咬合面小窩裂溝に填塞し,平均1年3カ月経過後の保持状態,特に保持率を評価するとともに,齲蝕進行抑制効果を検討した.この結果,シーラントの完全保持率は78.0%であり,歯冠修復を要するまでに咬合面齲蝕の進行が見られたものは2%であった.