小児歯科学雑誌
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咽頭部気道の成長変化に関する研究
藤井 悟加藤 栄行藤井 真由美加藤 文子齋藤 健志山田 博赤坂 守人
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1991 年 29 巻 4 号 p. 777-783

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抄録

咽頭扁桃・口蓋扁桃肥大症は咽頭部に位置し,舌,口腔周囲筋に影響を及ぼすことより,歯列・咬合異常の誘因になるといわれている.そこで今回,咽頭扁桃切除,口蓋扁桃摘出術の既往がなく,歯列咬合に大きな異常のない109名(3歳~9歳)の側貌頭部X線規格写真を用いて,咽頭扁桃・口蓋扁桃肥大および咽頭部気道の成長変化の検討を行い以下の結論を得た.
1)咽頭扁桃の大きさは,増齢による変化が明瞭ではなかったが3歳から6歳まで増齢とともに増加し,6歳をピークにして8歳まで減少し9歳で再び増加する傾向を示した.
2 ) 咽頭鼻部の気道の大きさは,3歳から4歳にかけて減少し4~6歳で最も狭窄を示し,6歳以後増加を示した.
3)咽頭鼻部の気道の大きさは,3歳から9歳ではSkeletal nasopharnyxおよび咽頭扁桃肥大の大きさの影響を受けるが,その影響は咽頭扁桃のほうが強いと思われた.
4)Lower pharynx(咽頭口部)の大きさは,年齢によってほとんど成長変化がみられなかった.
5)Lower phafynxの大きさは,Adenoid area, Airway percentageと正の相関がみられ,咽頭扁桃肥大との関係がみられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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