小児歯科学雑誌
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歯の異常が乳歯列の形態におよぼす影響についての研究
癒合歯・先天性欠如歯が乳歯列弓形態におよぼす影響について
平田 順一今井 麗大浜 綾子田中 好美久松 貴子比嘉 南美高梨 登赤坂 守人
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1992 年 30 巻 1 号 p. 172-185

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抄録

癒合歯および先天性欠如歯が,乳歯列にどのような影響を及ぼしているのかを検討する目的で,種々の距離計測を行った上,3次スプライン関数にて歯列弓曲線を描き,フーリエ解析を行って検討した。資料は,Hellmanのdental age IIA期で,下顎歯列内の片側に癒合,欠如歯を有する異常歯列群42名と,対照群として正常歯列56名の歯列模型である。歯列弓の大きさは,異常歯列群のすべての計測部位において対照群より小さく特に下顎に有意な差を認める部位が多かった。上下顎前歯被蓋関係は,異常歯列群と癒合歯群において対照群より有意に大きく,異常歯列群の霊長空隙は,下顎において対照群より有意に大きく特に欠如歯群で大きかった。異常歯列群の歯間空隙の総和は,下顎において対照群より有意に大きく欠如歯群で最も著明であった。対照群,異常歯列両群の平均歯列弓曲線において,最も唇・頬側に出た部位は,対照群の上顎において乳中切歯間,異常歯列群では第二乳臼歯相当部であり,二つの群に形態的な差異があった。異常歯列群の歯列弓曲線を対照群の平均曲線の上に重ね合わせたところ,2度交叉するタイプが多かった。フーリエ解析の結果,寄与率の高い成分波は四次成分波までであり,対照群の男児の上顎は一次,下顎は二次,女児の上顎は四次,下顎は二次成分波が最も高い個体が多かった。また,異常歯列群では,男女児,上下顎ともすべて一次成分波の寄与率が最も高い個体が多かった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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