小児歯科学雑誌
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ミュータンス・レンサ球菌の選択培地としてのMSB寒天培地とTYCSB寒天培地の比較
武井 勉青野 亘美馬 典子長島 滋大嶋 隆祖父江 鎭雄
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1992 年 30 巻 4 号 p. 735-740

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抄録

2~10歳の小児6 8 名を対象に, プラーク中のミュータンス・レンサ球菌をMSB培地およびTYCSB培地を用いて培養し, ミュータンス・レンサ球菌の検出ならびに菌数算定の結果について両培地を比較検討した。その結果TYCSB培地でのミュータンス・レンサ球菌の回収量はMSB培地での回収量より有意に多かった(P<0.05)。しかし,TYCSB培地はMSB培地に比べ,平板上に出現した総コロニー数に対するミュータンス ・レンサ球菌数の割合は有意に低く(P<0.01), しかも, ミュータンス・レンサ球菌の検出される被験児の割合はMSB培地の83.8%(57名)に比べ,TYCSB培地では76.5%(52名)と低かった。また,齲蝕の現症とミュータンス・レンサ球菌数との相関性においても, MSB培地の場合の方がTYCSB培地よりも齲蝕歯面数と強く相関することが示された。以上の結果から,ミュータンス・レンサ球菌の検出や菌数の算定にはMSB培地がTYCSB培地より優れていることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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