小児歯科学雑誌
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本学小児歯科に来院した歯の外傷患者の実態調査
鈴木 寿代青葉 達夫千葉 秀樹清水 文雄神山 紀久男
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1992 年 30 巻 4 号 p. 798-808

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抄録

1981年1月より1990年12月までの10年間に初診患者として本学小児歯科を受診した2,806名の患児のうち,初診時に外傷を主訴として来院した患児162名,乳歯129歯,永久歯62歯について臨床統計学的な検討を加えた。受傷年齢は0歳から10歳の間に分布し,2歳児が最も多かった。また,各歯列期にわけてみると,乳歯列期6.9%,混合歯列期4.1%であった。受傷部位は,乳歯及び永久歯ともに上顎中切歯が最も多く,しかも乳歯では右側が左側のほぼ2倍を占めた。
次に,1971年5月より1990年12月までの19年8カ月の間に当科の管理にのった患者の中で,管理中に受傷した61名を加え,総計223名,乳歯264歯,永久歯103歯について検討を加えた。受傷児の男女比は,乳歯では1.3:1,永久歯では1:1であった。受傷から来院までの経過日数は,24時間以内が最も多く,また,受傷の原因をみると,乳歯では衝突,転倒,転落,永久歯では転倒,衝突,事故の順に多かった。前歯部の咬合状態と受傷との関係では,正常咬合児に対する受傷正常咬合児の割合は5.8%,不正咬合児にみられる受傷率は4.1%と差は認められなかった。不正咬合では上顎前突を含む開咬が最も多かった。受傷症状では,乳歯でその他,脱臼,破折,永久歯では破折,不完全脱臼,脱落の順に多かった。処置については,乳歯では単なる経過観察,抜歯,整復固定の順に,永久歯では経過観察,整復固定,歯冠修復の順に多かった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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