小児歯科学雑誌
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正中埋伏過剰菌により萌出障害をきたした逆性上顎中切歯の開窓牽引の1症例
壺内 智郎三浦 容上田 茂樹松村 誠士下野 勉
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1993 年 31 巻 1 号 p. 130-135

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抄録

埋伏歯や過剰歯に関するこれまでの報告では,その発現率,好発部位,歯牙形態などについての報告が多く,その抜去時期や開窓時期について考察した報告は少ない.
今回,我々は上顎正中埋伏過剰歯および逆性埋伏上顎中切歯を有する症例に遭遇し,正中埋伏過剰歯の抜去時期を考えることで,逆性埋伏上顎中切歯の歯根をほぼ正常な方向に誘導させることができたので報告する.
1)初診から2年8ヵ月経過観察を行った後,8歳11ヵ月で過剰歯の抜去,埋伏歯の開窓処置を施した.埋伏歯の萌出状態の経過観察を行い,3ヵ月後に牽引処置を開始した.
2)開窓から1年8ヵ月で,歯根は彎曲することなくほぼ正常な歯軸方向へ形成され,埋伏歯の歯列内への誘導および歯軸の改善が完了したので保定処置に移行した.
3)現在1年4ヵ月経過したが予後は良好であり,経過観察中である.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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