1993 年 31 巻 3 号 p. 441-446
3種類のフッ素(以下Fと略す)徐放性レジンと1種類のグラスアイオノマーセメントを対象に同一規格でF徐放量を測定するとともに同レジンを接触させたアパタイトペレットへのF取り込みについて検討した.F徐放性レジンはF徐放性矯正用光重合型ボンディング材(以下FBと略す),F徐放性光重合型コンポジットレジン(以下FEと略す),およびF徐放性光重合型小窩裂溝用レジン(以下TFと略す)の3種類で,グラスアイオノマーセメント(以下HYと略す)も実験材料に加えた.
30日間のF徐放総量は,FBが最も多く,以下,HY,FEおよびTFの順であった.アパタイトペレットに取り込まれたF量は,FBが最も多く,以下,HY,FE,TFの順で,F徐放量と同じ順序であった.また,それぞれの徐放F量とFの取り込み量は近似していた.
作用後のアパタイトについてエックス線回折法を用いて生成物を同定したところ,いずれの実験群からもCaF2は検出できなかった.