小児歯科学雑誌
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デンタルプレスケールを用いた小児の咬合接触状態解析の再現性に関する研究
緒方 哲朗峰松 清仁中田 稔
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1994 年 32 巻 3 号 p. 480-487

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抄録

健全な咀嚼機能を維持するには,小児期からの咀嚼機能の発達過程を明らかにすることが重要である.著者らは咀嚼機能を評価する上で重要な要素のひとつと考えられる,咬頭嵌合位における咬合接触状態について研究を行い,臼歯部における咬合接触面積や咬合力の大きさは,第一大臼歯の萌出とともに,第二乳臼歯主導から第一大臼歯主導に変化していくことを明らかにした.
今回,歯科用咬合圧測定フィルム(デンタルプレスケール,富士写真フィルム株式会社製)と咬合圧測定システム(オクルーザー・FPD-703,富士写真フィルム株式会社製)が開発され,全歯列での咬合接触状態の解析が可能となった.そこでこれらを小児歯科領域で使用するに際して,その有効性を確認するため試用タイプを用いて再現性についての検討を行った.
63名の被験者から採得した175枚の資料を464回測定した.オクルーザーによる複数回測定の変動係数は,咬合接触面積で0.030,咬合力の大きさで0.024だった.各被験者の個人内変動係数は,咬合接触面積で0.12,咬合力の大きさ0.13であった.以上の条件下で使用すれば,デンタルプレスケールとオクルーザーは小児の咬合接触状態を解析する上で有効な方法であると考えられる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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