小児歯科学雑誌
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心身障害児の歯科治療に対するミダゾラム経鼻投与鎮静法の応用に関する研究
第3報 尿中カテコールアミン排泄に及ぼす影響
福田 理柳瀬 博河合 利方渥美 信子入野田 芳子黒須 一夫
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1995 年 33 巻 4 号 p. 713-718

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抄録

心身障害児の歯科治療時におけるミダゾラム経鼻投与(0.2mg/kg投与)と笑気吸入鎮静法の併用法の尿中カテコールアミン排泄に及ぼす影響について検討するため,薬物療法を受けていない精神発達遅滞児22名の歯科治療前後の尿からドーパミン,ノルアドレナリン,アドレナリンを定量分析した.
被験者は笑気吸入鎮静法下の歯科治療時に激しい拒否行動を示し,治療が困難で本法を応用した経鼻投与群,笑気吸入鎮静法単独応用で円滑に歯科治療が実施できた笑気群,笑気吸入鎮静法下の歯科治療時に激しい拒否行動のため抑制下の治療を実施した抑制群の3群に分類し,3群間の治療前後の尿中カテコールアミン量ならびに術前値に対する術後値の変化率を比較し以下の結果を得た.
術前値においては,3群間の全ての指標に統計的な有意差は認められなかったが,術後値では抑制群のアドレナリン,ノルアドレナリンは経鼻投与群,笑気群に比べ有意に高い値を示していた.
変化率では抑制群が他の2群に比べ全ての指標で高い値を示しており,とくにアドレナリンでは抑制群(244.8%)が笑気群(67.8%),経鼻投与群(25.4%)に比べ有意に高い値を示した. 一方,経鼻投与群は笑気群に比ベアドレナリン変化率が有意に低い値を示していた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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